仏「核の傘」拡大へ 欧州8か国と連携強化

井村 智規
经过

海軍基地で示した戦略転換

フランスのマクロン大統領は3月2日、ブルターニュ地方のロング基地で演説し、核政策の見直しを表明した。原子力潜水艦を背景に、保有弾頭の増加を既に指示したと述べた。戦略環境の変化を理由に挙げ、今後50年を見据えた抑止体制の構築を掲げた。

欧州全体を視野に入れた枠組み

フランスは従来、自国の「死活的国益」を守るため核戦力を保持してきた。今回の方針では、欧州の利益も対象に含める考えを具体化させた。イギリス、ドイツ、ポーランドなど計8か国が参加し、先進的抑止の構築に取り組む。

共同演習と能力開発の推進

参加国はフランスの核戦力演習に加わるほか、通常戦力の強化でも協力する。宇宙配備型の警戒システムや防空能力、長距離ミサイルなど補完的能力の整備を進める方針だ。ドイツとの間では、年内に具体的な協力の第一歩を踏み出すことで合意した。

核戦力の運用原則を維持

新たな枠組みでも、核兵器使用の決定権はフランス大統領にある。参加国に対し明確な安全保証を与える形は取らない。抑止の基本原理に基づき、具体的な発動条件は示さない姿勢を維持する。

欧州独自抑止の位置付け

この取り組みは、北大西洋条約機構の核戦略を補完するものと説明された。米政権が欧州への関与を見直す中で、欧州内での自立的抑止力を強める狙いがある。1960年代以来の戦略思想に連なる転換として位置付けられる。

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