春闘方針の決定過程
日産自動車の労働組合は、2026年春闘における賃金要求額を月1万円とする方向で調整に入った。前年と比べて8千円低い水準であり、交渉開始前から抑制的な姿勢を示している。企業側の厳しい経営状況を踏まえ、現実的な要求額に設定したとされる。
過去の交渉結果との比較
2025年春闘では、労組は月1万8千円の賃上げを求め、会社側は1万6500円を提示した。一定の賃上げは実現したものの、要求との差は残った。今回の要求額は、その実績を下回る水準であり、交渉環境の変化が明確に表れている。賃金水準の維持と経営再建の両立が課題となっている。
巨額赤字が示す経営の厳しさ
日産は2025年3月期に6708億円の最終赤字を計上し、経営環境は大きく悪化した。2026年3月期についても赤字継続が見込まれており、収益改善には時間を要する状況である。販売低迷やコスト構造の問題が重なり、経営の自由度は限定されている。
構造改革と雇用への影響
経営再建策の一環として、日産は追浜工場の生産終了を決めた。さらに、国内外で合計2万人規模の人員削減を実施している。これらの施策は固定費削減を目的とするが、現場の雇用環境には大きな影響を及ぼしている。労組は賃上げよりも雇用維持を重視した対応を迫られている。
他社動向と今春闘の位置付け
自動車業界では、経営環境の悪化を受けて賃上げ要求を引き下げる動きが広がっている。他社労組も前年より低い水準で要求額を設定する見通しで、日産の判断は例外ではない。2026年春闘は、業界全体の調整局面を象徴する交渉となっている。
