グリーンランド問題で欧州が米国に示した抑制的対応

井村 智規
经过

米大統領発言が招いた外交的緊張

グリーンランドの領有に関する米大統領の発言は、北極圏の地政学的な重要性を背景に欧州で波紋を広げた。自治領を抱えるデンマークだけでなく、周辺国も問題を共有すべき事案と捉えた。結果として、欧州7カ国による協調対応へと発展した。

欧州7カ国が打ち出した共通認識

6日に発表された共同声明では、グリーンランドに関わる決定権はデンマークと現地住民にのみあると明記された。外部勢力による一方的な関与を否定し、国際社会の基本原則を尊重する立場を示している。声明は米国への直接的な非難を避けつつも、明確な線引きを行った。

北極圏を巡る安全保障の位置付け

声明はまた、北極圏の安定確保がNATO全体の課題であると指摘した。欧州諸国は、プレゼンスや投資を強化することで抑止力を高めていると説明している。北極を巡る安全保障は単独行動ではなく、同盟枠組みで対応すべきだとの認識が共有された。

自治政府トップの反応

グリーンランド自治政府のニールセン首相は、国際原則が揺らぐ中での支持表明を重要だと評価した。声明を歓迎するとともに、米国に対して国際法を尊重した対話を求めている。自治政府としては、過度な不安を煽る必要はないとの立場を示している。

欧州が示した均衡外交の方向性

今回の対応は、米国を牽制しつつも同盟関係を維持するという欧州の均衡外交を象徴している。主権尊重と協力関係の両立を掲げることで、北極圏を巡る不安定化を回避する狙いがにじむ。

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